前回の記事では、仕事が遅れたとき、
「もっと頑張らなきゃ。」と考える前に、「どこで止まった?」を見ることを知りました。
(※前回の記事はこちら→『仕事の遅れに気づいても、予定は元に戻らない。最高評価者は「止まった原因」を先に探していた』)
それから私は、仕事が遅れたときに原因をメモするようになりました。
- 資料探し 25分。
- 判断に迷った 15分。
- 返事待ち 30分。
以前なら、
「今日も仕事が遅かった。」で終わっていた一日が、
「ここで止まっていた。」と少しずつ見えるようになってきました。
「原因が分かれば、次は大丈夫だろう。」
私は、そう思っていました。
しかし……現実はそう甘くはなかったのです。
翌日。
私は昨日と同じ場所で、また手を止めることになります。
原因は分かった。それなのに、昨日と同じ場所で止まった。
その日の午前中。
私は、前日と似た資料を作っていました。
途中までは順調です。
ところが必要なデータを確認しようとして、手が止まりました。
「あれ……どこだっけ?」
昨日と同じです。
共有フォルダを探し、メールをさかのぼる。
そのとき、机の横に置いたメモが目に入りました。
「資料探し 25分」
昨日、自分で書いた言葉です。
私はその文字と、パソコンの画面を交互に見ました。
「そういや昨日、原因は分かってたよな……。」
なのに今日も、同じことをしています。
その瞬間、ようやく気づきました。
「俺、原因を見つけただけで……何も変えてなかったんだ。」
- 分かった。
- 気づいた。
- 反省した。
それだけで、どこか改善した気になっていたのです。
机の横には、昨日書いた“答え”が残っていた。
メモには、「資料探し 25分」とはっきり書いてあります。
原因は分かっていました。
それでも今日、私は昨日と同じように仕事を始めました。
- 必要な資料を確認しない。
- 使うデータを準備しない。
そして途中で、「あれ、どこだ?」と止まる。
原因を知っただけでは、次に同じ場面が来たときの行動は何も変わりません。
私はこれまで、「原因が分かった。」というところで考えるのを終えていました。
会議で、「原因は○○でした。」と説明する。
振り返りで、「次回から気をつけます。」と書く。
それだけで、何か一つ改善したような気持ちになる。
でも本当に必要だったのは、
「次に同じ場面が来たとき、何をどう変えるのか。」
そこまで決めることでした。
私は昨日のメモを見ながら思いました。
「原因が分かったら……その次は一体何をすればいいんだ?」
彼は振り返るだけでは終わらなかった。次の準備を変えていた。
その日の午後。
最高評価者の席の横を通ると、その人はまだ作業を始めていませんでした。
パソコンには、これから使う資料がいくつか開かれています。
机の上にも、必要な書類だけが並んでいました。
私は少し気になり、自分から声をかけました。
「それって、毎回最初に準備してるんですか?」
最高評価者は画面を見ながら答えます。
「これは最近ですね。」
「前に途中で必要な資料が見つからなくて、結構止まったことがあったので。」
私は自分のメモを思い出しました。
「原因が分かったから、先に準備するようにしたんですか?」
「そうですね。」
最高評価者は、特別なことでもないように答えました。
「原因が分かっても、次も同じやり方をしたら、また同じところで止まりますよね。」
その一言が頭に残りました。
最高評価者も、失敗を振り返っています。
でも、
振り返りだけでは終わっていなかったのです。
原因が見えたら、次に同じ場面が来たときの準備を、一つだけ変えていたのです。
「分かった」を「次はこうする」に変える。
私はその日のメモを、もう一度開きました。
資料探し 25分
その横に、初めて一行追加しました。
→ 次は、作業前に必要な資料を一か所へそろえる。
たった一行です。
それでも、昨日までとは意味が違いました。
「資料探しで止まった。」
で終わるのではなく、「次はこうする。」まで決めた。
改善とは、原因を知ることでもなければ、反省することでもありません。
次に同じ場面が来たときの行動を変えること。
そこまでやって初めて、仕事は少しずつ変わり始めます。
しかも、一度に全部を直す必要はありません。
- 資料探しで止まったなら、資料の準備を変える。
- 判断に迷ったなら、判断基準を先に確認する。
- 返事待ちで止まったなら、必要な確認を作業開始前に先に送る。
一つの原因に対して、次の一回で、一つだけ変える。
それで十分でした。
昨日より頑張っていないのに、今日は止まらなかった。
数日後。
また同じ種類の資料を作る仕事がありました。
いつもなら、すぐに作業を始めます。
でも今回は、その前に数分だけ使いました。
- 必要なデータ
- 過去の資料
- 確認に使うファイル
それらを一か所へそろえます。
そして仕事を始めました。
作業を進めていくと、以前なら手が止まっていた場所が近づいてきます。
「あの資料、どこだった?」となるはずの場面です。
でも今回は、目の前にありました。
そのまま作業を続けます。
手は止まりません。
気づけば、いつもより早く次の工程へ進んでいました。
私はちらっと時計を見ました。
特別に集中したわけでもなければ、昼休みも削っていません。
そして、いつもより速くタイピングしたわけでもありません。
昨日より頑張ったわけでもありません。
昨日と、やり方を変えただけでした。
たったそれだけです。
その事実が、少し不思議な感覚でした。
私は長い間、
「結果を変えるなら、もっと頑張らなければならない。」と思っていました。
でも、頑張る量を増やさなくても、やり方を一つ変えることで、結果が変わることがある。
私は初めて、それを自分の仕事で実感しました。
変えたのは仕事量ではなく、やり方だった。
それから私は、仕事が止まった原因を見つけたら、その横へ一つだけ書くようになりました。
「次は何を一つ変える?」
例えば、
資料探し 20分
→ 作業前に必要な資料をそろえる。
判断に迷った 15分
→ 始める前に判断基準を確認する。
返事待ち 30分
→ 必要な確認は、作業開始前に先に送る。
難しい改善計画は作りません。
一度に何個も直しません。
一つ原因が見えたら、一つだけ変える。
そして、次の一回で試す。
うまくいけばそのまま続け、うまくいかなければまた現在地を見る。
何が止めたかを考え、そして、次を一つ変える。
これまで一つずつ覚えてきた仕事の進め方が、ここで初めて一本につながりました。
何に時間を使うか決める。
途中で、今どこにいるかを見る。
止まった原因を探す。
そして、次の一回を変える。
私はようやく、人から教わった仕事術を使うだけではなく、
自分で自分の仕事を少しずつ良くしていけるようになっていたのです。
今日、「次は何を一つ変える?」まで書いてみる。
もし最近、「また同じところで止まったな。」と思う仕事があれば、原因を一つ書いてみてください。
その横に、もう一行だけ追加します。
→「次は何を一つ変える?」
5つも改善しなくていい。
完璧な仕組みにする必要もありません。
次に同じ場面が来たとき、
昨日とは違う行動を一つだけ試す。
まずは、それで十分です。
改善とは、「分かりました。」で終わることではなく、「次はこうする。」まで決めて、実際に一度やってみることです。
その小さな一回が積み重なると、仕事は少しずつ変わり始めます。
次回予告:仕事が変わると、今まで見えていなかったものまで見え始めた。
以前の私は、仕事がうまくいかないと、
「もっと頑張らなければ。」と考えていました。
それが少しずつ変わりました。
- 何に時間を使うかを見る。
- 途中で現在地を見る。
- 止まった原因を見る。
そして、次のやり方を一つ変える。
仕事がうまくいかなかったとき、自分で次の行動を考えられるようになってきたのです。
「前より、自分なりに仕事の進め方が分かってきた気がする。」
私は、そんな手応えを感じていました。
そして、仕事が少しずつ変わり始めると、
それまで忙しさの中では気づかなかったものまで、少しずつ見えるようになっていきます。
私はまだ、その変化がこの先どこへつながるのか知りませんでした。
第21話へ続きます。
次回もお楽しみに!

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