前回の記事では、最高評価を取り続ける人たちは、成果だけでなく、途中で起きた問題や次の行動まで報告することで、上司へ安心感を届けていることを知りました。
(※前回の記事はこちら→『同じような成果なのに評価が違う…。最高評価者は「報告」で信頼を積み上げていた。』)
私はその日から、報告の仕方を少しずつ変えていきました。
「終わりました。」
それだけで終わらせるのではなく、
何をしたのか。
途中で何があったのか。
そして次に何をするのか。
そこまで伝えるようにしたのです。
以前より、上司から安心して仕事を任せてもらえる場面も増えてきました。
「最近、前より仕事が進めやすくなってきたなぁ。」
そんな手応えも少しずつ感じ始めていました。
正直、
「これで、また最高評価へ一歩近づけた。」
そう思っていたのです。
しかし…それはまだ早かった。
私には、まだ気付いていない大きな違いが残っていました。
「もう少し考えてから相談しよう。」その数時間後、私は同じ資料を作り直していた・・・。
ある日の午前中。
上司から一つの資料作成を頼まれました。
私は参考資料を受け取り、自席へ戻ります。
ページをめくるたびに、頭の中へいくつもの疑問が浮かびました。
「今回は細かい数字を見せる資料なのかな。」
「それとも、大まかな流れを見せる資料にするのか。」
私は一度だけ顔を上げ、上司の席を見ました。
上司は電話を耳に当てながら、パソコンに目を向け、忙しそうにキーボードを叩いていました。
「今は話しかけない方がいいな。」
「もう少し形にしてから相談しても遅くない。」
そう自分に言い聞かせ、私はキーボードを打ち始めました。
カタカタというキーボードを叩く音がいつもより大きく聞こえました。
「丁寧に作ってくれたんだけど…。」その一言で、今までの2時間の努力が静かに崩れた
時計を見ると、いつのまにか2時間が過ぎていました。
私は完成した資料を印刷し、少しだけ胸を張りながら上司の席へ向かいます。
「資料の確認をお願いします。」
上司は一枚ずつ資料に目を通しました。
紙をめくる音だけが流れます。
私はそれを見つめて、鼓動が早くなっていきました。
数秒後、その手が止まりました。
「丁寧に作ってくれたんだけど…。」
その言葉を聞いた瞬間、胸が少しざわつきました。
「今回は細かい数字より、全体の流れが分かる資料にしたかったんだ。」
私は思わず資料へ目を落とします。
そこには2時間かけて作った表や数字がずらりと並んでいました。
間違ってはいません。
しかし、それは上司が求めていたものでもありませんでした。
私は静かに答えます。
「分かりました。」
席へ戻る途中、さっきまで少し誇らしかった資料が、急に重たく感じました。
椅子へ腰を下ろすと、喉の奥から小さなため息が漏れました。
まだ何も起きていないのに…。最高評価者はもう上司へ向かっていた
午後になり、近くの席から上司と最高評価者の会話が聞こえてきました。
私は何気なくその様子を見ていました。
すると、その人は椅子から立ち上がり、迷わず上司の席へ向かったのです。
「この仕事ですが、一つだけ方向性を確認してもよろしいですか。」
私は思わずキーボードを打つ手を止め、思わず会話に耳を傾けました。
まだ仕事は始まっていません。
困っている様子もありません。
それなのに相談しているのです。
すると上司は笑顔でこう答えます。
「その方向で大丈夫。」
「ただ、この点だけ意識して進めて。」
「ありがとうございます。」
会話は1分もかかりませんでした。
席へ戻った最高評価者は、迷う様子もなく仕事を進め始めました。
私はその姿を見ながら、2時間前の自分を思い出していました。
帰り道、夕焼けを見ながら私はようやく違いに気付いた
仕事を終え、会社を出ると夕方の風がゆっくり頬をなでました。
駐車場へ向かいながら、今日一日の出来事を何度も何度も思い返します。
「私は2時間かけて方向性が違うことに気付かされた。」
「でも、あの人は最初の一分で方向を合わせていた。」
その瞬間、2時間かけて作り直した自分と、1分で席へ戻った最高評価者の姿が、頭の中で重なりました。
違いは、仕事の速さではなかった。
私はずっと、相談とは「困ったときにするもの」だと思っていました。
でも、最高評価者は違いました。
困る前に相談していたのです。
相談とは、問題が起きてから助けを求めるだけのものではありません。
問題が起きる前に、進む方向を合わせる時間でもあったのです。
その違いに気付いたとき、胸の中にあったモヤモヤが、すっと晴れていくような感覚がありました。
今日から試してください。最初の「1分」が2時間のやり直しを防ぐ
次に仕事を任されたら、作業を始める前に一言だけ伝えてみてください。
「私はこの方向で進めようと思っていますが、合っていますか?」
たったこれだけです。
私も、この一言を意識するようになってから、大きなやり直しは驚くほど減りました。
仕事が速くなったわけではありません。
間違った方向へ走る時間が、減ったのです。
次回予告:相談はできるようになった。それでも私は、1人で頑張ることが正しいと思っていた…
仕事を始める前に相談するようになってから、やり直しは確実に減りました。
「これで、ようやく最高評価者へ近づける。」
私はそう思っていました。
しかし翌週、最高評価者の席から聞こえてきた言葉に、私はまた手を止めることになります。
「○○さん、この部分だけちょっと力を貸してもらえませんか。」
私は思わず、その声の方を見ました。
「えっ…。自分の仕事なのに、人へ頼むの?」
その瞬間、私の中にあった
「仕事は一人で頑張るもの」
そのときの私は、まだその思い込みを疑ってすらいませんでした。
次回、
『一人で頑張る人ほど評価されない?最高評価者は周囲を巻き込んでいた』
をお届けします。


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