前回の記事では、最高評価を取り続ける人たちは、目の前に来た仕事へ反応するのではなく、仕事全体を見て「何に時間を使うのか」を先に決めていることを知りました。
(※前回の記事はこちら→『目の前の仕事だけでは成果は伸びない。最高評価者は仕事全体を先に設計していた』)
私はそれから、仕事へ手をつける前に、まず抱えている仕事を一度すべて見るようになりました。
- 重要な仕事へ先に時間を確保する。
- 後でよい仕事は後へ回す。
それだけで、何週間も進まなかった仕事が少しずつ形になり始めました。
「最初にきっちり計画を立てておけば、仕事は迷わず進められる。」
私はそう思っていました。
しかし……。
仕事全体を見て立てたはずの計画も、現実の中では少しずつズレ始めていたのです。
完璧に予定を立てた。だから、もう大丈夫だと思っていた…。
月曜日の朝。
私はパソコンの画面に、一週間の予定を並べていました。
- 金曜日までに完成させる資料。
- 月曜日は構成。
- 火曜日は数字の整理。
- 水曜日は資料作成。
- 木曜日に上司へ確認し、金曜日に修正して完成。
第16話で学んだ「調整時間」も確保しています。
「今回はちゃんと全体を見て確認したぞ。」
「この計画なら金曜日までに終わる。」
私は少し安心し、仕事を始めました。
しかし、実際に進めると、数字の確認に予定以上の時間がかかりました。
関係者へ送った質問にも、まだ返事がありません。
急な資料修正も入ります。
それでも私は、
「まあ、まだ調整時間もあるし大丈夫だろう。」
と思っていました。
計画を立てた安心感があったのです。
「まだ二日ある」が、「あと二日しかない」に変わった。
水曜日の午後。
金曜日の締切まで、まだ二日。
感覚では半分以上進んでいるつもりでした。
私は何気なく、残っている作業を確認しました。
- 資料の作成
- 数字の再確認
- 関係者からの回答待ち
- 上司への確認
- 最終修正
一つずつ目で追ううちに、額にじんわりと汗がにじみ、マウスを動かしていた指が止まりました。
思っていたより、仕事がかなり残っています。
時計を見る。
頭の中で残り時間を計算します。
さっきまで、
「まだ二日ある。」
と思っていたのに、
「あと二日しかない……。」へ変わりました。
ゆっくりと肩が重くなっていきました。
仕事は突然遅れたんじゃない。俺が見ていなかっただけだった。
私は月曜日に作った予定表を開きました。
本来なら、水曜日には資料の大部分が完成しているはずでした。
しかし、現実には数字の確認も終わっていない。
関係者からの返事もない。
資料も途中です。
そこで初めて気づきました。
今日になって突然遅れたのではありません。
- 月曜日には、最初の作業が予定より遅れていた。
- 火曜日には、必要な返事が来ていなかった。
実は小さなズレは、もっと前から始まっていたのです。
でも私は、
「まだ時間はあるから問題ない。」
と、少しのずれは気にせず、そのまま進み続けていたのです。
私は計画をつくったことで安心し、実際に今どこにいるのかを確認していませんでした。
「もっと前から遅れていたんだ。」
「自分が気づいていなかっただけだった……。」
彼は、決めた予定を何度も見直していた。
その日の夕方。
最高評価者の席をふと見ると、予定表を開いていました。
すでに仕事は始まっているのに、予定には線が引き直されています。
私は聞きました。
「この予定、変えるんですか?」
「変えるかどうかを見るんです。」
「でも、最初に計画してましたよね?」
最高評価者は画面を見ながら答えました。
「しました。でも、それは始める前に考えた予定なんです。」
そして、予定と実際の進み具合を見比べます。
「やってみたら、思ったより時間がかかることもあります。」
「相手の返事が遅れることもあります。」
「だから途中で一度、今どこにいるのかを確認してるんです。」
私は黙って予定表を見つめました。
最高評価者は、計画どおりに進む人ではありませんでした。
計画からズレたときに、誰より早く気づける人だったのです。
計画を守って進む人より、ズレに早く気づく人。
私は、良い計画とは最後までその通りに進めることだと思っていました。
だから少し遅れても、
「少し頑張れば取り戻せる。」
と、そのまま進んでいました。
しかし、計画は仕事を始める前につくった未来の予想です。
実際に動けば、新しい情報が増えるのは当然です。
時間がかかる仕事もあれば、条件が変わることもある。
それなのに最初の計画だけを信じれば、現実とのズレは広がっていきます。
大切なのは、計画を最後まで守り抜くことではありません。
「今、予定していた場所にいるか?」
と途中で確認することでした。
ズレが小さいうちなら、まだ打てる手は残っています。
水曜日に気づけば、まだ間に合う。
次の仕事では、水曜日の午後に一度だけ手を止めました。
予定表を開き、
「本当なら、今どこまで終わっているはずだったか。」
「実際には、どこまで進んでいるか。」
を見比べます。
少し遅れていました。
でも、まだ水曜日です。
私は確保していた30分の「調整時間」をここで使いました。
さらに、時間がかかりそうな部分を整理し、上司へ声をかけます。
「今ここまで進んでいます。ただ、この確認に想定より時間がかかっています。このままだと金曜日が厳しくなる可能性があるので、一度相談させてください。」
上司は進捗を確認すると、
「そうか、それならこの部分は保留にして、違う部分を先に進めよう。」
と答えました。
翌日、仕事は予定していたラインへ戻りました。
そして金曜日。
私は締切直前に慌てることなく、資料を完成させました。
誰かに褒められたわけではありません。
ただ、
「間に合わない。」
と金曜日の夕方に焦ることがなかった。
一週間の中間地点である水曜日に現在地を見ただけで、金曜日の景色が変わったのです。
今日、仕事の途中で一度だけ現在地を見てみる。
今進めている仕事の途中で、一度だけ予定表を開いてみてください。
そして、自分へ問いかけます。
「今、予定していた場所にちゃんといるか?」
予定どおりなら、そのまま進む。
遅れているなら、
「どのくらいズレている?」
と確認する。
完璧な修正方法まで考えなくても構いません。
まずは、ズレていることに気づくことが何よりも重要です。
早く気づけば、使える時間も、相談できる相手も、まだ残っています。
終わってから、
「なぜ遅れたんだろう。」
と振り返るのではなく、途中で現在地を見る習慣をつける。
その小さな習慣が、計画倒れを防いでくれます。
次回予告:現在地は見えた。それでも、どこを直せばいいのか分からなかった…。
途中で現在地を見るようになってから、締切直前に慌てることは減りました。
- 遅れていれば、調整時間を使う。
- 難しいと思えば、早めに相談する。
これまで身につけてきた仕事の進め方が、少しずつつながり始めました。
「途中で気づけば、立て直せる。」
そんな手応えも感じていました。
しかし……。
ある日の午後。
私は予定表と実際の進捗を見比べていました。
予定より、一時間ほど遅れています。
「今回は早く気づけた。」
そう思い、調整時間を使って遅れを取り戻そうとしました。
ところが、同じ作業でまた手が止まります。
- 資料を読み返す
- 数字を確認する
- 順番を変えてみる
それでも前へ進みません。
時計の針だけが、静かに動いていきます。
「遅れていることは分かった。」
「でも……何を変えればいいんだ?」
現在地が見えることと、仕事を前へ進めることは同じではありませんでした。
そのとき、少し離れた席から最高評価者の声が聞こえてきました。
「予定より遅れていますね。」
「まず、どこで止まったのかを一緒に確認しましょう。」
私は思わず顔を上げました。
最高評価者は、遅れた予定をただ元へ戻そうとしていたのではありません。
仕事が止まった場所と、その理由を探していたのです。
次回、
『仕事の遅れに気づいても、予定は元に戻らない。最高評価者は「止まった原因」を先に探していた』
をお届けします。


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