【第24話】何度説明してもやり方は残らない。最高評価者は「自分がいなくても確認できる形」を残していた

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前回の記事では、

「自分ならできる」を、「誰がやっても迷わない」に変える。

という考え方に気づきました。

→(前回の記事はこちら『【第23話】自分しかできない仕事は強くない。最高評価者は「誰でも同じようにできる形」をつくっていた』)

人によって違っていた「保存場所」、「作業順序」、「判断基準」を一つずつそろえることで

担当者によってやり方が変わらないようにしていきました。

最初に決めたのは、完成したファイルの保存場所。

たった一つの共通ルールでした。

それでも、毎回のように聞かれていた質問が減ったのです。

「これなら、もっと良くできそうだ。」

私は少しずつ、ほかの部分にも共通ルールを広げ始めました。

ところが、ある日のこと。

「すみません。これって、どこに保存するんでしたっけ?」

また、同じ質問が聞こえてきました。

「前に説明したよ!」が、口から出そうになった

「この前と同じ共有フォルダですよ。」

私は相手の画面を指さしました。

「ああ、そうでした。ありがとうございます。」

「いえいえ、大丈夫です。」

笑顔で答え、自分の席へ戻ります。

でも、心の中では少し引っかかっていました。

「……前にも説明したんだけどな。」

その日の午後。

別の担当者から声がかかります。

「すみません。この場合って、どっちから確認するんでしたっけ?」

「そこは先にこっちを見てからですね。」

「あ、わかりました。」

説明はたった一分ほど。

大した時間ではありません。

でも、席に戻ると、さっきまで考えていたことが途切れています。

画面を見つめる。

マウスを動かす。

「……どこまでやったっけ?」

ようやく頭が仕事に戻ったところで、また声がかかりました。

一つひとつは小さな質問です。

相手も、間違えないように確認してくれています。

それは分かっています。

でも、何度も中断されると、思っていた以上に集中が切れました。

私は時計を見ました。

「これ、毎回説明してたら、結局変わらないな……。」

一度教えたら覚えてくれる。その前提が崩れた

共通ルールは決めました。

保存場所も、確認する順番も、関係する人には伝えています。

その場ではみんな、

「わかりました。」

と言ってくれました。

だから私は、次からは大丈夫だと思っていたのです。

でも、考えてみれば不思議な話でした。

自分だって、一度聞いたことを全部覚えているわけではありません。

毎日やる仕事なら自然と身につくこともあります。

でも、月に一度しかやらない仕事はどうでしょう。

  • 似た名前のフォルダがいくつもあったら?
  • 前回から何週間も空いていたら?

「……俺だって忘れるよな。」

そう考えると、さっきまでの小さな不満が、少し違うものに変わりました。

ただ、そのときの私は、まだこう思っていました。

  • 忘れたら聞いてもらえばいい。
  • その都度、説明すればいい。
  • 少し面倒でも、それで仕事が進むなら問題ない。

ところが翌週、その考えが通用しない出来事が起きました。

俺が休んだ日、仕事まで止まっていた

その日は、私は休みを取っていました。

翌朝。

いつものように出勤し、パソコンを立ち上げます。

すると、担当者が声をかけてきました。

「昨日の件なんですけど……。」

「はい。」

「途中まではできたんですが、ここから先が分からなくて、止めてあります。」

「えっ?」

画面を見せてもらいました。

確認する順番までは合っています。

必要なデータもそろっている。

でも、途中に一つだけ判断に迷う場所がありました。

そこから先へ進んでいません。

「昨日、確認しようと思ったんですけど、お休みだったので……。」

私は画面を見つめました。

その判断基準は、以前みんなでそろえたものです。

私がいれば、数秒で答えられます。

でも昨日は、いませんでした。

「……そうか。」

共通ルールを決めた。

みんなにも説明した。

だから、人が変わっても同じようにできると思っていた。

でも――。

そのルールを確認する方法が、私に聞くことしかなかった。

私は椅子に座り、しばらく考えました。

自分がいない日に仕事が止まる。

これでは、やり方をそろえる前と、まだ同じ弱さが残っています。

「決めただけじゃ、ダメだったのか……。」

彼がいないのに、なぜ仕事が進んでいるんだ?

数日後。

別の案件で、最高評価者が担当している仕事の進み具合を確認する機会がありました。

その日、最高評価者は別の業務で席を外していました。

近くでは、別の担当者がパソコンに向かっています。

しばらくすると、その人の手が止まりました。

画面を見つめ、何かを考えています。

「……あれ、どっちだったかな。」

小さな声が聞こえました。

私は、何か困っているのかと思いました。

ところが、その人は誰かを呼ぶわけでもなく、共有フォルダを開きました。

一つのファイルを開き、画面を見比べています。

何かを確認すると、元の作業へ戻りました。

そして、作業を続けています。

私は少し気になりました。

「今、何を確認してたんですか?」

「ああ、この作業の手順です。久しぶりだったので、確認してました。」

「それって、自分で作ったものですか?」

「いえ。この仕事の担当者がみんなで見られるように置いてあるものです。」

そう言って、ファイルを見せてくれました。

そこには、作業する順番だけでなく、間違えやすいところや判断に迷ったときの確認ポイントも書かれています。

何十ページもあるような資料ではありません。

必要なことが、短くまとまっていました。

「これがあれば、全部分かるんですか?」

私が聞くと、担当者は少し笑いました。

「全部ではないですけど、いつも迷うところは大体これで確認できます。わからないことがあれば、もちろん聞きますよ。」

「なるほど。」

私はそこで、自分の仕事を思い出しました。

同じ質問を何度も受ける。

自分が休むと、判断できずに止まる。

でも、この人は、分からなくなったときに自分で確認する場所を知っている。

その違いが気になりました。

しばらくして、その担当者は作業を終えました。

「さっきのところ、大丈夫でした?」

「はい。確認できたので、予定していたところまで終わりました。」

私は少し驚きました。

最高評価者が席を外している間に、迷ったところを自分で確認し、予定していた作業を終えていたのです。

後で最高評価者が戻ってきたとき、聞いてみました。

「さっき、担当の方が共有フォルダの手順を見て進めてましたけど、あれって作ったんですか?」

「ええ。よく聞かれるところを中心に、必要なことだけ残しています。」

「毎回聞かれなくてもいいように、ですか?」

「そうですね。毎回同じことを聞かれるのも、お互い大変なので。」

最高評価者はそう答えると、自分の仕事へ戻りました。

私はその言葉を考えながら席に戻りました。

教えるのが上手いから、仕事が進んでいたわけじゃない。

分からなくなったとき、本人が自分で確認できるものがあった。

だから、最高評価者がその場にいなくても、少なくともあの作業は止まらなかった。

「教えるのが上手いんじゃない。教え続けなくていいようにしてるんだ……。」

決めたことと、残したことは違った

席に戻った私は、前回まとめた共通ルールを思い返しました。

  • 保存場所。
  • 作業順序。
  • 判断基準。
  • 完成の状態。

どれも必要なことです。

でも、それを知る方法は何だったでしょう。

私に聞く。

以前説明されたことを思い出す。

近くにいる人へ確認する。

それだけでした。

私は紙を取り出し、二つの言葉を書きました。

「決める」

「残す」

前回やったのは、決めること。

今回必要なのは、残すこと。

「なるほど……。」

口頭で説明すれば、その瞬間は伝わります。

でも、時間が経てば忘れることもある。

担当者が変われば、そもそも説明を聞いていない人もいる。

だったら、毎回覚えてもらう必要はないのかもしれません。

忘れても、自分で確認できればいい。

必要なのは、もっと上手に説明することではありません。

自分が説明し続けなくても、必要なときに答えを見つけられる状態をつくること。

では、自分の仕事ならどうすればいいのか。

私は、何度も質問されていた作業を一つ選びました。

たった三行で、何かが変わるのか?

最初から立派なマニュアルを作るつもりはありませんでした。

何十ページもある資料を作ったところで、使う人が必要な答えを見つけられなければ意味がありません。

まずは、よく聞かれる部分だけ。

私は、前回決めたやり方を確認しながら、短い手順を書きました。

① 共有フォルダの対象データを開く。

② 決めた確認ポイントをチェックする。

③ 完成したファイルを指定の保存先へ置く。

そして、以前から質問が多かった判断についても、確認する場所と、何を基準に判断するのかを一文で補足しました。

新しいルールを作ったわけではありません。

すでに決めていたことを、必要なときに見返せるようにしただけです。

その短い説明を、作業する人が開く共有フォルダの分かりやすい場所へ置きました。

さらに、関係する担当者へ伝えました。

「よく聞かれるところを短くまとめました。ここに置いたので、迷ったら一度確認してみてください。」

「分かりました。ありがとうございます。」

これで、手順の存在も場所も伝わりました。

でも、少し不安もありました。

  • こんな短いもので、本当に役に立つのだろうか。
  • 説明が足りないかもしれない。
  • 別のところで迷うかもしれない。

ただ、最初から完璧にするより、まず使ってもらおう。

そう考えました。

「ちょっといいですか?」が聞こえなかった日

数日後。

別の担当者が、その仕事をすることになりました。

私は自分の仕事を進めています。

いつもなら、そろそろ声がかかる頃です。

「すみません、ちょっといいですか?」

そんな言葉を、どこかで待っていました。

でも、聞こえてきません。

ふと顔を上げると、担当者が共有フォルダを開いていました。

私が置いた短い手順を見ています。

  • 画面を確認する。
  • 元の作業へ戻る。
  • 手順を見る。

そして、そのまま進めていきました。

私は声をかけず、自分の仕事へ戻りました。

しばらくして、

「ここまで終わりました。」

と報告がありました。

確認すると、手順に残した部分は、決めたやり方で進んでいます。

以前、判断に迷っていたところも、その基準に沿って処理されていました。

私は担当者に聞いてみました。

「途中で迷うところはありませんでした?」

「少し迷ったんですけど、あの手順に確認するところが書いてあったので、それを見て進められました。」

「そうでしたか。ありがとうございます。」

私は画面を見ながら、少し不思議な気持ちになりました。

「……今回は、途中で一度も説明してないな。」

もちろん、すべての仕事が自分なしで進むようになったわけではありません。

まだ聞かれることもあるでしょう。

でも、今回は一つ違いました。

分からなくなった人が、私ではなく、残された情報を見て仕事を進めた。

私がその場で答えなくても、一つの作業が進んだのです。

覚えてもらうより、忘れても困らない形にする

私は以前、

「一度説明したんだから、次からは分かるだろう。」

と考えていました。

でも、人は忘れます。

自分だって忘れる。

担当者が変わることもあれば、しばらくその仕事をしないこともあります。

だから、覚えていないことを責めても、問題は解決しません。

必要なのは、

忘れない人を増やすことではなく、忘れても確認できる状態をつくること。

それが、今回私の中で変わった考え方でした。

仕事のマニュアルというと、分厚い手順書を想像するかもしれません。

でも、必要な答えが見つかるなら、三行でもいい。

保存場所を示す一文でもいい。

完成した状態が分かる一枚の画像でもいい。

大事なのは、作ったことではありません。

使う人が、自分で答えにたどり着けること。

そして、残すのは昔のやり方をそのまま写したものではなく、目的を確認し、必要に応じて見直した今のやり方です。

私は少しずつ、仕事を人の記憶だけに頼らせない方法を覚え始めました。

今日、一つだけ「次も聞かれる質問」を残してみる

もし今日、誰かから仕事について質問されたら、少しだけ考えてみてください。

「次に同じ質問が来たとき、自分に聞かなくても分かるものを一つ残せないか?」

例えば、

  • 保存場所を一行書く。
  • 作業の順番を三つ書く。
  • 完成例を一枚残す。
  • 迷いやすい判断基準を一つ書く。

何でも構いません。

ただし、必要な人が見つけられる場所へ置くこと。

そして、その場所を使う人に伝えること。

自分だけのメモ帳に書いて終わりでは、相手は確認できません。

最初から完璧なものを作る必要もありません。

まずは、一つの質問に対して、一つの答えを残してみる。

私も最初は、たった三行の手順と短い補足でした。

でも、それによって、私が答えなくても進む場面が一つ生まれました。

次回予告:今度は、俺が手を出さなかったらどうなる?

それから私は、よく聞かれる仕事について、少しずつ確認できる情報を残し始めました。

  • 一行の説明。
  • 短い手順。
  • 迷いやすい判断のポイント。

必要なときに見返せるものが増えていきます。

ある日。

担当者が手順を見ながら、作業を進めていました。

私は少し離れた席から、その様子を見ていました。

以前なら、途中で声をかけていたかもしれません。

「そこはこうした方がいいですよ。」

「次はこっちです。」

でも、その日は何も言いませんでした。

担当者は手順を確認しながら、自分で作業を進めています。

私はふと思いました。

「これ……。」

一つの作業なら、私が説明しなくても進んだ。

だったら。

「こういうのを増やしたら、俺がいなくても仕事は進むんじゃないか?」

まだ、そうなるかどうかは分かりません。

途中で判断に迷うこともある。

手順に書かれていないことが起きるかもしれない。

それでも、試してみたくなりました。

私は開きかけた口を閉じ、もう一度自分の仕事へ目を戻しました。

「今度は、俺が手を出さなかったらどうなるんだろう?」

第25話へ続きます。

自由を獲得して、子供と毎日思いっきり遊びたい!
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☆★3児のパパ・40代・会社員★☆

【家族】妻、子供3人(小学生と保育園児)
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【モットー】何事も頑張りすぎず、リラックスして取り組む!

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「時間がない40代でも、会社に頼らず人生は変えられる!」

いつものように仕事が終わって家に帰る。

子どもと遊びたいし、家族との時間も大切にしたい。

でも現実は・・・

仕事、家事、育児に追われて気づけば一日が終わる。

給料はなかなか増えない・・・

将来への不安は減らない・・・

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そして、ふと考える。

「このまま定年まで働き続けるしかないのだろうか?」

実は、私も同じでした。

3人の子どもを育てながら働く普通の40代会社員

特別な才能も資格もありません。

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しかし、私はまだゴールに到達したわけではありません。

会社依存から完全に抜け出したわけでもありません。

だからこそ、

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一緒に人生を変えていきたいと思っています。

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